大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和57(あ)952 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人増田祥の上告趣意のうち、判例違反をいう点は、原判決は所論引用の各判

例と相反する判断をしたものではないから、所論は理由がなく、その余の点は、単

なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。

弁護人青木正芳の上告趣意は、憲法三一条違反をいうが、その実質は被告人の本

件所為に公職選挙法一三八条一項、公職選挙法(昭和五七年法律第八一号による改

正前のもの)二三九条三号を適用したことの違法をいう単なる法令違反又は事実誤

認の主張であつて、適法な上告理由にあたらない(なお、記録を検討すると、被告

人が原判示選挙に際し立候補者Aに投票を得させる目的で選挙人九名方を戸々に訪

問し同候補者のため投票を依頼した旨を認定し、これに公職選挙法の所論規定を適

用した原判決は相当であり、被告人の所為がB党の政策・綱領の宣伝であるとか後

援会活動の一環としてなされたものであるとは、とうてい認められない。したがつ

て、その所為が刑罰をもつて臨まなければならないような法益侵害の危険性をなん

ら有しないとすることはできない。)。

弁護人鶴見祐策の上告趣意のうち、公職選挙法二五二条の規定の違憲をいう点は、

右規定が憲法一五条、二一条、三一条に違反しないことは、当裁判所の判例(昭和

二九年(あ)第四三九号同三〇年二月九日大法廷判決・刑集九巻二号二一七頁)の

趣旨に徴し明らかであるから、所論は理由がなく(最高裁昭和五五年(あ)第一五

七七号同五七年三月二三日第三小法廷判決・刑集三六巻三号三三九頁参照)、その

余の点は、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。

弁護人沢藤統一郎の上告趣意のうち、公職選挙法二五二条一項の適用に関する違

憲をいう点は、右規定を戸別訪問、法定外選挙運動用文書頒布の各罪について適用

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しても憲法一五条、二一条、三一条に違反しないことは、当裁判所の判例(前掲昭

和三〇年二月九日大法廷判決)の趣旨に徴し明らかであるから、所論は理由がなく、

その余の点は、憲法三一条違反をいう点を含め、その実質は単なる法令違反、量刑

不当の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。

弁護人上田誠吉の上告趣意及び弁護人鶴見祐策、同田辺幸雄、同簑輪弘隆の上告

趣意のうち、公職選挙法一三八条一項、公職選挙法(昭和五七年法律第八一号によ

る改正前のもの)二三九条三号の各規定の違憲をいう点は、右各規定が憲法前文、

一五条、二一条に違反しないことは、当裁判所の判例(昭和四三年(あ)第二二六

五号同四四年四月二三日大法廷判決・刑集二三巻四号二三五頁)の趣旨に徴し明ら

かであるから、所論は理由がなく(最高裁昭和五五年(あ)第八七四号同五六年六

月一五日第二小法廷判決・刑集三五巻四号二〇五頁、同昭和五五年(あ)第一四七

二号同五六年七月二一日第三小法廷判決・刑集三五巻五号五六八頁参照)、公職選

挙法(昭和五七年法律第八一号による改正前のもの)一四二条一項、二四三条三号

の各規定の違憲をいう点は、右各規定が憲法前文、一五条、二一条に違反しないこ

とは、当裁判所の判例(昭和二八年(あ)第三一四七号同三〇年四月六日大法廷判

決・刑集九巻四号八一九頁、昭和三七年(あ)第八九九号同三九年一一月一八日大

法廷判決・刑集一八巻九号五六一頁、前掲昭和四四年四月二三日大法廷判決)の趣

旨に徴し明らかであるから、所論は理由がない(最高裁昭和五五年(あ)第一五七

七号同五七年三月二三日第三小法廷判決・刑集三六巻三号三三九頁参照)。

弁護人菅原一郎の上告趣意のうち、判例違反をいう点は、原判決は所論引用の判

例と相反する法律判断をしたものではないから、所論は理由がなく、公職選挙法一

三八条一項の規定の違憲をいう点は、右規定が憲法二一条、三一条に違反しないこ

とは、当裁判所の判例(前掲昭和四四年四月二三日大法廷判決)の趣旨に徴し明ら

かであるから、所論は理由がなく、その余の点は、事実誤認の主張であつて、適法

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な上告理由にあたらない。

被告人本人の上告趣意のうち、公職選挙法の戸別訪問禁止規定、文書頒布規制規

定の各違憲をいう点は、右各規定が憲法一五条一項、三項、二一条一項に違反しな

いことは前記のとおりであるから、所論は理由がなく、公民権停止規定の違憲をい

う点は、右規定が憲法三一条に違反しないことは前記のとおりであるから、所論は

理由がなく、その余の点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、適法な上

告理由にあたらない。

よつて、刑訴法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決す

る。

昭和五九年二月一五日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 角 田 禮 次 郎

裁判官 藤 崎 萬 里

裁判官 中 村 治 朗

裁判官 谷 口 正 孝

裁判官 和 田 誠 一

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